埼玉新聞

 

うれしくて泣いた…埼玉・戸田中央総合病院の選手ら、ソフトボール教える活動 きっかけは児童からのメッセージ

  • 戸田第一小学校5年5組の5人からのメッセージ。一枚の紙だがQRコードを読み込んでびっくり(戸田中央総合病院提供)

  • 連携協定を調印した中村毅理事長(左)と戸ケ崎勤教育長=5月26日、戸田市教育委員会室

 女子ソフトボールリーグ1部で活躍する戸田中央総合病院メディックスの選手たちが戸田市内の小中学校で子どもたちにボールの投げ方やバットの振り方などスポーツの基本を教える活動を始めることになった。きっかけは、市内の小学生たちから病院に届けられた紙一枚のメッセージ。戸田市教育委員会(戸ケ崎勤教育長)は5月26日、戸田中央総合病院の女子ソフトボール部「メディックス」と連携協力を約束する協定を結んだ。

■紙一枚のメッセージ「泣いた」

 今回の協定締結のきっかけとなったメッセージは、戸田第一小学校5年5組の児童5人が作成。「病院の方たちへ~コロナで大変な人たちへ向けて」と題したB4判の紙に「いろいろ大変だと思いますが、気持ちを上げてがんばってください。(中略)困ることもたくさんあると思います。が、自分はできると信じてがんばってください。応えんしています」などと書いてあった。

 紙には児童の写真とともにQRコードがあり、病院の職員たちが自分のスマートフォンで読み込むと、児童5人のメッセージ動画を見ることができた。同校によると、5年生の総合学習の中で、地域の中で何かしたいと児童らが考え、5人は同病院へのメッセージを作った。担任教師が3月30日に持参したという。

 メディックス代表で同病院理事長の中村毅さんは「あれを見てうれしくて泣いた。そんなに私たちのことを思ってくれているのか、と心に響いた」と語った。戸ケ崎教育長は「このメッセージは、子どもたちの自発的な学習の延長だった。誰かが言ってやらせたものではないことが貴重で感動した」と話す。

■収束宣言、本格的な活動再開に

 市役所3階の市教育委員会室で行われた協定調印式には戸ケ崎教育長、メディックス代表で、同病院の中村理事長、中野寛メディックス部長らが出席した。

 同病院は昨年末に新型コロナウイルス感染症で大規模な院内クラスターに苦しみ年明けに収束宣言を出した。メディックスは最近、本格的な活動再開に踏み出したばかり。中村さんは「大規模クラスターで皆さまにご迷惑をかけ、心よりおわびします」と語り、今後の協力を誓った。

 戸ケ崎教育長は「専門家の指導による量から質への転換も重視している。運動の楽しさ、喜びを味わうことも大事な課題。この協定に期待している」と語った。

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