埼玉新聞

 

「デーノタメ遺跡」国史跡へ 1200年以上続いた縄文時代の集落跡 北本で初、県内26件目 「わが国を代表する史跡として高く評価」

  • 縄文時代の環状集落「デーノタメ遺跡」(北本市提供)

    縄文時代の環状集落「デーノタメ遺跡」(北本市提供)

  • 縄文時代の環状集落「デーノタメ遺跡」(北本市提供)

 国の文化審議会(島谷弘幸会長)は24日、北本市の縄文時代の環状集落遺跡「デーノタメ遺跡」を国史跡に指定するよう盛山正仁文部科学相に答申した。指定されれば、県内の国指定史跡は26件になり、北本市での指定は初となる。

 県教育委員会文化財・博物館課などによると、デーノタメ遺跡は縄文時代中期後葉から後期前葉(約5千年~約3800年前)に営まれた関東最大級の環状集落遺跡で、水場遺構を伴う。

 当時の漆製品や植物資源の利用実態を知る手掛かりとなる、赤や黒の漆を塗った土器やトチの実、クルミの核といった遺物が豊富に出土。縄文時代中期から後期にかけての環境変化とそれに適応した人々の活動痕跡を知る上で、重要な遺跡という。

 デーノタメ遺跡は史跡に指定する前段階から保護するため文化庁が2023年に「指定相当の埋蔵文化財」に選ばれていた。

 また、文化審議会は同日、すでに史跡に指定されている和光市の午王(ごぼう)山遺跡について、範囲の追加指定も併せて答申した。

 午王山遺跡は弥生時代の環濠集落で、住居跡と出土遺物の多様性から、広域の地域間交流の実態を示す重要な遺跡であるとして、20年3月に指定。今回は条件が整った約509平方メートルが追加指定となり、指定面積は約1万8601平方メートルとなる。

 県外では他に、後期旧石器時代から縄文時代草創期の石器や炉の跡が見つかった福井洞窟(長崎県佐世保市)が特別史跡とするよう答申された。旧石器時代の遺跡が特別史跡となるのは初めて。東日本最古級の大規模前方後方墳、高尾山古墳(静岡県沼津市)などの史跡指定も求められた。

■史跡に一層の関心を

 大野元裕知事の話 縄文時代の集落の様子を知る上で重要な北本市の「デーノタメ遺跡」が、わが国を代表する史跡として高く評価されたこと、また、和光市の「午王山遺跡」の一部が追加指定されたことを大変うれしく思う。これを契機に、県民の皆さんが、身近に残されている史跡に一層の関心を寄せていただくことを願う。愛される遺跡にする

■愛される遺跡にする

 三宮幸雄北本市長の話 デーノタメ遺跡の価値が認められ、うれしい。国指定に向け指導、助言をいただいた文化庁、埼玉県など多くの関係者に感謝したい。遺跡は1200年以上も継続した縄文時代の集落跡で、自然と共生した持続可能な社会を実現している。今後は、この遺跡をまちづくりのモデルにするとともに、多くの人に愛される遺跡にしていきたい。

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