埼玉新聞

 

全国最年少町長…速報に「えっ、やった」 口コミで対話集会拡大 幸福度ランク1位の街、埼玉・鳩山 ニュータウンに人口の50%

  • 涙ぐむスタッフから花束を贈られ笑みを浮かべる小川知也氏(右)=7日午後9時55分、鳩山町松ケ丘3丁目

    涙ぐむスタッフから花束を贈られ笑みを浮かべる小川知也氏(右)=7日午後9時55分、鳩山町松ケ丘3丁目

  • 涙ぐむスタッフから花束を贈られ笑みを浮かべる小川知也氏(右)=7日午後9時55分、鳩山町松ケ丘3丁目

 無所属の現新4人の争いとなった埼玉県の鳩山町長選は7日投開票され、新人の自営業の小川知也氏(28)が大差で初当選を飾り、全国最年少の町長が誕生した。10カ月の衆院議員秘書の経験はあるが、行政や議員歴はない。対話集会を地道に重ねた結果、町民の審判は「若い力」に期待する形となった。

 7日午後9時45分過ぎ、小川氏の選挙事務所。小川氏は自ら町の選挙速報を確認すると「3136」の数字が目に入った。「えっ、やった」と外に飛び出してきた。スタッフとスマートフォンを何度も確認、拍手と歓声が上がった。「皆さんの力で当選できた。今後、町長になってもこれまでのように皆さんとの対話を大切に町政運営をしていきたい」と感謝の言葉を述べた。

 祖父の故武正さんは町議4期、父の唯一さん(73)は5期務めた。高校生の頃から「政治にアンテナを張っていた」という。ひと足早く、今年2月に出馬表明。選挙準備を進め、町全体の人口の50・7%を占める「鳩山ニュータウン」に事務所を構えた。

 「町民の皆さんの声を町政に届けたい」と地道に対話集会を重ねてきた。当初は「若すぎる」との声もあり、人が集まらなかった。口コミでだんだんと広がり、50人、100人と集まるようになった。35回、1300人以上の町民と語り合ったという。勝因は「やはり対話集会ですね。皆さんに私の思いを伝えることができた」と振り返る。

 町長選では珍しい演説会告知の2連ポスターを張ったり、街宣車を流し、ネットや交流サイト(SNS)を活用。ほぼ毎日、動画を投稿・発信し、選挙戦に“新風”を吹き込んだ。「若い人たちにも選挙に関心を持ってもらえたのでは」と自負している。

 一方、5選を目指した現職の小峰孝雄氏(66)と、新人で町議3期を経て挑んだ大賀広史氏(52)は、3月に出馬表明、出遅れ感は否めない。小峰氏はあえて組織をつくらない、個々のつながりを重視した“ネットワーク型選挙”を展開したが、前々回の選挙より約2800票も減らした。大賀氏は「7人の侍(町議)」の支持を受けたが、届かなかった。中には「(結果的に)「『熟年』選手と『高年』選手の力が分散、『青年』選手の先行逃げ切りのレースだった」と分析する人もいる。

 小川氏の行政手腕は未知数だが、「現在の町政の良いところは引き継ぎつつ、財政基盤を改善し、期待以上の行政サービスが提供できる町政を目指したい」としている。町長職は生半可な気持ちでは務まらない。「対話と連携をしっかりやって、新しい町づくりを進めたい」。小川氏が鳩山をどう変えていくのか、28歳の全国最年少町長の動向に多くの人が注目している。

鳩山町は、民間企業調査で2年連続「幸福度ランキング1位」の街として知られる。

小川氏の主な経歴は、オリエンタルランド社員、衆議院議員秘書。

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