埼玉新聞

 

<新紙幣、新時代。>栄一翁の想い継ぐ~(6) 村岡桃佳さん「激励の言葉が、私の活動の原動力になる」

  • 2022年、地元深谷でのパレードを振り返り、「皆さまからいただく激励の言葉が、私の活動の原動力になっています」と話した村岡桃佳さん=岡山県内

    2022年、地元深谷でのパレードを振り返り、「皆さまからいただく激励の言葉が、私の活動の原動力になっています」と話した村岡桃佳さん=岡山県内

  • 2022年、地元深谷でのパレードを振り返り、「皆さまからいただく激励の言葉が、私の活動の原動力になっています」と話した村岡桃佳さん=岡山県内

 2024年7月3日、ついに発行となった新1万円札の肖像となる渋沢栄一翁は、我々の故郷・埼玉県深谷市の出身です。

 「道徳経済合一」や「論語と算盤」など栄一翁の精神は、変化に富む現代においても脈々と受け継がれ、多くの日本人がその魂に触れ、影響を受けています。

 「新紙幣、新時代。~栄一翁の思い継ぐ~」では、地元深谷や栄一翁にゆかりのある皆さんに、栄一翁の残した「言葉」を選んでもらい、語っていただきました。

■「自分からこうしたいああしたいと奮励さえすれば、大概はその意のごとくになるものである」(「論語と算盤」処世と信条)

 小学2年の時、親から「パラスポーツの体験会があるから、行ってみない?」と誘われたのが今につながっています。気がつけば競技の世界にのめりこみ、いつかパラリンピックでメダルを獲れる選手になりたいと思うようになりました。アルペンスキーは小学3年から。スタート地点に立つと、言葉では言い表せない開放的な感覚と、いつ滑落したり、ケガをするかもしれないという怖さの間で心が揺れます。毎回滑る斜面も、コースも変わり、条件も違うので明確な基準がないのです。そんな終わりの感じがないところが魅力です。

 夢だったパラリンピックに出場して、目標のメダルも獲ることができた。その後、胸に去来したのは「次は何を目指そう?」というものでした。そこで沸き起こった感情は「陸上競技をしてみよう」でした。栄一翁の「自分からこうしたいああしたいと奮励さえすれば、大概はその意のごとくになるものである」。その時の私の心境に重なります。

 2022年の地元深谷でのパレード。本当にたくさんの方にお越しいただきました。この場をお借りして改めて御礼申し上げます。皆さまからいただく激励の言葉が、私の活動の原動力になっています。現在は深谷を離れ、拠点を岡山に置いています。私の活動が、どこかの誰かに届いて「こういう人もいるんだ」って、何かをはじめるきっかけになってくれたら嬉しいです。

(2024年7月3日 埼玉新聞発行「新紙幣、新時代。~栄一翁の思い継ぐ~」より全文掲載)

■むらおか・ももか

 1997年生まれ。深谷市出身。正智深谷高校、早稲田大学卒業。アルペンスキーでソチ、平昌、北京のパラリンピック3大会に連続出場し、金メダルを通算4個獲得。2018年、2022年紫綬褒章。現在はトヨタ自動車に所属。

第7回は7月10日(水)、深谷フラワークィーンの皆さんを配信予定です。

=埼玉新聞WEB版=
 

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