観光スポットでもクマ出没 市街地での銃猟可能に緩和へ 「今まで以上の意識啓発」不可欠 昨年度は過去最多の目撃情報 埼玉・秩父
2024/07/10/13:44
クマの市街地出没対策で、環境省の専門家検討会は8日、鳥獣保護管理法を改正し、市街地での銃猟が可能となる要件を条件付きで緩和する対応方針をまとめた。埼玉県内の猟友会関係者は「今まで以上の注意喚起と意識啓発が求められる」と話した。
秩父市生活衛生課によると、2023年度の同市内でのクマの目撃情報は、22年度より42件多い73件で、調査記録が残る12年度以降、過去最多となった。毎年、山間部での目撃が多いが、23年度は市街地内の観光スポット「秩父ミューズパーク」付近での情報も多く寄せられ、市は昨夏、「熊出没注意」の看板増設を行った。
本年度は7月5日現在で計8件の目撃情報があり、最も多い地区は大滝で4件。同地区を狩猟エリアとする奥秩父猟友会の青木博志会長(75)は「今年も野生鳥獣の行動は活発で、市に寄せられた件数よりも、もっとたくさん現れているはず。今後もクマの目撃者は多くなるのではないか」と話す。
同猟友会メンバーは毎年、人が多く集まる大滝地区内の施設や観光地、登山スポットなどでクマの目撃情報が入ると、市から連絡を受けて現地調査を行い、人家に被害をもたらす可能性はないかなどを確認している。
今回の鳥獣保護管理法の改正方針について、青木会長は「全国的にクマによる人的被害が増えてきているので、必要な対策」と賛同する。一方で、「人が集まる場所での銃の扱いは、今まで以上の注意喚起と意識啓発が求められる。狩猟者は、周囲の事故防止と銃の安全管理をより徹底するための訓練が不可欠」と強調した。