人気の“カフェ&菓子店”埼玉・桶川に 腕を振るう3きょうだいは、パティシエ、和菓子職人、バリスタ
桶川市朝日に3人のきょうだいが営むカフェ&菓子店がある。長男が和菓子、長女が洋菓子、それぞれの専門分野を生かして2016年に開業、今年6年目を迎えた。県産イチゴや狭山茶など地元の素材にこだわり、旬の味で人気を博している。「お兄ちゃんごめんね、今日は洋菓子の気分なんだ」「和菓子とコーヒーは合うね」と近所の人が気軽に声を掛ける街のお菓子屋さん。三つの専門店が一つになった場所だ。
■集合
お店の名前は「菓匠幹栄×CafeLatte57℃」。長男で代表取締役の加藤幹也さん(41)は和菓子職人。修行を経て地元桶川市で実家のフランチャイズの洋菓子店を手伝っていた。しかし「職人のプライド」から自らの和菓子店を開こうと心に決め、物件を探し始めた頃、それぞれ都内で修行していた妹の希美香さん(38)、弟の美仁さん(35)と会う機会があった。2人のもてなしに衝撃を受けた。「パティシエの作るケーキはこんなにおいしいのか、バリスタの入れるコーヒーはこんな味わい深いのかと初めて知った」と幹也さん。「3人でやれば面白いんじゃないか」と3人それぞれが気付いた瞬間だった。
■リスペクト
「別々の職人なのでお互いの分野を信頼できる」と言うのはパティシエの希美香さん。昨年9月から11月にかけて発売した菓子「えみ」は3人のコラボで完成した。エスプレッソジュレ、レアチーズケーキ、オレンジあんを羽二重餅で包んだ3人の職人技が大好評だったという。
「私が作った洋菓子を和菓子職人としてはどう思う?と意見を聞けるのがいい。そしてどちらにも合うコーヒーが最強」
バリスタの美仁さんはラテアートの世界大会での入賞経験を持つ。コーヒーの上に「白鳥」が羽ばたくラテアートは芸術的。カフェを楽しみに来るファンも多かったが、コロナ禍でテークアウトのみになってしまった。「バリスタの技を見せられない」と残念がる。「イートインだからこその和菓子との相性の良さを多くの人に知ってもらいたい」と美仁さん。
コーヒー豆はブラジル、エチオピアの単一農園で採れた高品質の豆を使用。「個性を楽しんでもらいたいから」と単一品種にこだわる。
■農家と仲良く
3人に共通するのは素材へのこだわり。県産小麦粉の「あやひかり」、県産イチゴの「あまりん」、寄居町の養鶏場の朝採れ卵など、素材を求め農家に出向き、じっくり話を聞いて仕入れる。さらに地元重視でもある。幹也さんは桶川産のもち米やうるち米を使い、「桶川の食用ベニバナを何とか商品にしたい」と試作を繰り返している。
希美香さんは言う。「埼玉にはおいしいものがいっぱいある。農家さんと仲良くして、新しいお菓子を作っていきたい」
「菓匠幹栄×CafeLatte57℃」は桶川市朝日1の26の10。電話048・782・9199