「素手でたたく」が最多の9件、児童生徒へ体罰 県教委が実態調査を発表 さいたま市教委は体罰で4人処分
県教育委員会は11日、2023年度の県内公立学校(さいたま市立を除く)における教職員の児童生徒に対する体罰の実態調査結果を発表した。発生件数は前年度3件減の13件で、被害児童生徒数は同9人減の14人だった。体罰の場面としては高校の部活動が5件で最も多かった。
児童生徒や保護者、教職員へのアンケートや聞き取り結果を取りまとめた。調査対象は小学校693校、中学校354校、義務教育学校2校、高校139校、特別支援学校40校。
県教委によると、発生件数の内訳は小学校1件、中学校0件、高校9件、特別支援学校3件だった。中学校は調査開始の13年以来、はじめて発生件数0件を達成した。
体罰を行った教職員は11人で、40代が6人と最多。処分はいずれも訓告などの指導で、免職や停職、減給などはなかった。体罰場面は部活動が5件、授業中が4件、休み時間が3件、放課後が1件だった。
体罰の様態別では、素手でたたいたものが9件で最も多く、主な被害は精神的苦痛が4件、打撲が1件。8件は負傷なしだった。
県教委では6月に更新した「不祥事防止研修プログラム」を活用し、体罰の防止を図っているといい、体罰発生件数は減少傾向にある。
■体罰で4人処分、不適切指導69人 さいたま市教委
さいたま市教育委員会は11日、2023年度の同市内の体罰と暴言など不適切な指導の発生状況を発表した。22年度はなかった市立学校の教諭による体罰は計4件で、小学教諭1人、中学教諭3人を厳重注意などの処分にした。不適切な指導をした教職員は21人増の69人で、うち3人を厳重注意などの処分にした。体罰、不適切な指導とともに懲戒処分はなかった。
市教委教職員人事課によると、体罰は21年度は高校で1件、22年度は0件。昨年度は4件で、右手のひらで頭を1回たたいたほか、胸ぐらをつかんで強く押し、尻もちをつかせるなどの行為に及んだ。不適切な指導をしたのは小学教諭が前年度比11人増の36人、中学教諭が同10人増の33人。威圧的な言動で叱責(しっせき)したり、感情に任せて怒鳴ったりするなどした。処分を受けた3人以外の66人に対して、校長が厳重注意、指導を行った。
体罰と不適切な指導をした73人の状況別で多かったのは、小学校が日常と授業中がいずれも19人ずつ、中学校が部活中14人、授業中10人だった。
市教委は、体罰や不適切な指導が増加した要因については精査中とした上で「各学校での校内研修の充実、改善を図り、未来を拓く学校づくり推進運動を進めていく」とコメントした。