埼玉新聞

 

アニメ画で埼玉・川越の建物を紹介 狭山の出版社がガイド本 モダンな近代建築、アニメや特撮の舞台にも

  • かまぼこ型の屋根が特徴の「味の店いせや」の前で「川越の建物 近代建築編」を手にする神谷利一さん=川越市連雀町

  • 「川越の建物 近代建築編」から「リストランテ・ベニーノ」(仙波書房提供)

 川越の市街地にある大正から昭和のモダンな建物を紹介した「川越の建物 近代建築編」を、川越出身の神谷利一さん(48)が代表を務める仙波書房(狭山市)が出版した。建物のイラストはアニメーション制作会社の描き下ろし。写実的で、独特な空気感を表現した絵で建物の魅力を引き出している。

 「仙波書房」は神谷さんが編集制作から営業までこなす“一人出版社”。約15年間勤めた医療系の出版社を退社し、1月に設立した。趣味で川越の建物の模型を作っていたこともあり、第1弾の本は「川越の建物」に決めた。

 川越を舞台にしたアニメ「月がきれい」で、見慣れた故郷が写実的で素晴らしく描かれていたことを思い出し、同作の制作会社「feel.(フィール)」に相談。アニメの背景を専門に制作している「プロダクション・アイ」を紹介され、イラストを描いてもらった。

 取り上げた近代建築は、埼玉りそな銀行蔵の街出張所、川越アートカフェパレードなど21カ所。写真で撮影すると光の加減で陰になってしまう部分も、アニメ背景画ならばはっきりと描くことができる。電線など邪魔なものは省略し、背景は青空と、完璧な状態で建物を表現している。

 記事は神谷さんが建物を一軒一軒巡り、取材をして執筆した。西洋風の建物は石やモルタルで造られ、三連窓など共通する様式はあるが、バラエティーに富んでいる。商家だったものが多く、商都として栄えた川越の歴史をしのばせるものばかりだ。

 これらの建物はアニメや特撮ドラマなどの舞台となることが多い。作品名も掲載し、「聖地巡礼」感覚で巡ることもできる。神谷さんは「家族で巡り、子どもはアニメ、大人は建物や歴史について話題にしてもらえたら」と話している。オールカラーで167ページ。税込み2200円。

 JR川越駅前の川越マイン3階で、掲載したイラストの原画と建物の模型の展示も8月31日まで開催されている。

 問い合わせは、仙波書房(ファクス04・2909・9395、メールsemba.shobo@gmail.com)へ。

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