まさか…1040万円相当の銅線を盗まれた太陽光発電施設、収入なくなり「ただただ悔しい」
深谷署は13日までに、深谷市内ケ島の太陽光発電設備敷地内で、銅線約1200メートル(計1040万円相当)が盗まれたと発表した。
同署によると、被害は8日ごろから10日ごろにかけて発生。太陽光パネルから発電した電力を送る銅線2種類が抜き取られた。一つは太さ約44ミリ、長さ約400メートル、重さ約1240キロで約280万円相当。もう一つは太さ約51ミリ、長さ約800メートル、重さ約3320キロ、約760万円相当だった。
8日午後9時すぎ、管理者に施設の異常を知らせる通知があり、10日午後4時ごろ、現場に駆け付けたところ、被害に気付いた。同日午後7時ごろ、管理会社の従業員が深谷署を訪れ、「銅線が大量に盗まれた」と届け出た。
施設は約19万平方メートルで、通常は無人となっていた。金網フェンスで囲まれていたが、一部が切断されていたという。
同署は転売目的で盗まれた可能性があるとみて調べる。
県警捜査3課によると、県内の太陽光発電設備施設では銅線が盗まれる被害が相次いでおり、今年1月から7月10日までに、県北東部を中心に他に51件発生。被害総額は約2300万円に上るという。昨年は1年間で41件だった。被害が急増していることから、県警は事業者らに定期的な見回りや適切な防犯対策を取るよう注意を呼び掛けている。
■電力送れず二重の損害
深谷市の太陽光発電施設で銅線が盗まれた事件で、被害に遭った管理会社(東京都豊島区)の担当者は埼玉新聞の取材に、「何も悪いことをしていないのに持っていかれて、ただただ悔しい」と複雑な心境を語った。
同社は深谷市内ケ島にある約19万平方メートルの敷地内に太陽光パネルを設置。発電したエネルギーを電力会社に買い取ってもらう事業を展開している。多いときで1時間に1500キロワット発電するという。
銅線は集めた電力を別の機械に送るために使われている。今回は太い銅線を中心に盗まれており、「5、6年前から銅線の価格が高騰していると聞いた。発電所でそういう被害があると聞いていたが、まさかうちもやられるとは」と言葉を失った。
設備は今も稼働しているものの、電力の供給は途絶えているという。銅線自体の被害額約1040万円はもちろん、「発電して得る収入がなくなってしまった。復旧するまでの期間が長くなればなるほど損害が増える」と頭を抱えた。