埼玉新聞

 

あの女ゴミ…女子高生が自殺、いじめた交際相手の妹らに慰謝料命令 納得できぬ父「弱くて自殺したとでも」

  • さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 2017年に県立高校2年の女子生徒=当時(16)=が自殺したのは、交際していた元男子生徒とその妹が会員制交流サイト(SNS)上で中傷したいじめが原因で、学校側は適切な対応を取らなかったとして、女子生徒の両親が元男子生徒や県を相手取り、慰謝料など約9650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、さいたま地裁であった。

 岡部純子裁判長は、女子生徒に対する不法行為があったとして、元男子生徒と妹に慰謝料50万円の支払いを命じる一方、「教諭らの対応は合理的で、女子生徒の自死を予見できなかった」として、県への請求を棄却した。

 判決理由で岡部裁判長は、元男子生徒と妹が「あの女ゴミすぎた笑」「学校にいづらい環境を作ってやる」などとSNS上に投稿したのは、「女子生徒に他の生徒から好奇の目で見られ、いじめられるかもしれないとの恐れを抱かせる」として共同不法行為を認定した。学校や教諭の対応については、「女子生徒の登校しやすい環境を整備しつつ、電話などで状況を確認した」とした上で、「女子生徒の言動などから自死を予見できたとは認められない」と、注意義務違反はなかったとした。

 女子生徒は一連の投稿があった約2週間後の17年4月14日、自宅で首をつり死亡。県は18年5月、元男子生徒らの投稿がいじめに当たるとする報告書をまとめた。

 女子生徒の父親(50)は判決について、「納得できない。自殺したのは本人の意志が弱いからと言っているとしか感じられない。こういう判決が出ると、ネットで嫌がらせを受けて亡くなっても、因果関係がないという流れになる」とSNS上の中傷の重大性を訴えた。原告代理人は直ちに控訴する考えを示した。

 高田直芳県教育長は「県の主張が認められたものと考えている。亡くなった生徒さんのご冥福をお祈りする」とコメントした。

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