24年ぶりに復活 大宮公園に戻って来たボート オールさばきに「ほれ直しました」 水質改善に取り組み、環境整える 「ボートと一緒に活気が戻れば」
さいたま市大宮区の大宮公園の舟遊(しゅうゆう)池に16日、貸しボートが戻ってきた。水質の悪化で2000年に営業が終了したが、復活を望む声は多く、県が地域住民と協力して水質改善に取り組み、22年に行ったかいぼりで、水辺の環境が整った。24年ぶりに再開し、5隻のボートが池に浮かぶ姿に、昔を知る県民は「ボートあってこその大宮公園」と喜んだ。
戦前の1934年に始まった貸しボートは大宮公園の名所の一つで、最盛期には50隻以上の舟が池に浮かんだという。しかし、地下水の減少や近年の気候変動などで、池の水質が悪化。利用者の減少も重なり、惜しまれながらも営業を終了した。
舟遊池のにぎわいが減っていく中、県は2018年に園内の再生を図る「大宮公園グランドデザイン」の一環で、ボート復活を含む水質改善計画を立案。22年11月には、水を抜いて底の泥を天日干しにするかいぼりイベントを12年ぶりに実施。地元企業も参加し、官民連携で水辺の環境改善に取り組んだ。
努力の結果、水の入れ替え後には、水中の汚れを示す数値が半分以下に改善。水辺を活用した地域のにぎわいづくりとして、24年ぶりの復活が実現した。
再開初日はあいにくの雨交じりの天気にもかかわらず、5隻のボートが池へこぎ出た。利用した20代のカップルは「自然の中で穏やかな時間を過ごせた」と話し、男性のオールさばきに女性は「ほれ直しました」と笑顔だった。
以前の舟遊池の姿を知る80代男性は「大宮公園といえばやはりボート。ボートと一緒に若い人の活気が戻ればいい」とかつてのにぎわいが戻ってくることを期待した。
事業を運営する大宮ボートハーバーによると、舟は手こぎの3人乗りで、5隻から徐々に増やしていく。ボート乗り場や池にパラソルを設置し、コワーキングスペースとしても利用できる。
営業時間は午前10時~午後6時で、料金は30分500円。夜間営業も行う予定で、ボート内に発光ダイオード(LED)ライトを設置し、季節に合わせたライトアップをする。池の周囲には桜の木々が植えてあり、春には桜吹雪を水の上から見上げられる。
27日にはボート復活を記念して、アメリカザリガニの駆除体験や持続可能な開発目標(SDGs)を学ぶワークショップなどを開催。親子で楽しめるイベントも今後行う。問い合わせは、大宮ボートハーバー(電話048・783・3669)へ。