埼玉新聞

 

<埼玉西武だより アカデミー(中)>飯能校“打撃の楽園”で少年らフルスイング「好きになってもらう」

  • 子どもたちに指導を行う宮田和希アカデミーコーチ(球団提供)

 ある日のライオンズアカデミー飯能校。陽が徐々に落ち、飯能市民球場には照明が入った。同球場は両翼92メートル、中堅120メートルと広い。レフトスタンドの後方に深々と茂る木々に向かって、そこに届けと言わんばかりに少年たちがフルスイングして白球を飛ばす。

 そして、打撃ゲージを囲むようにロングティーが2か所、ティー打撃も2か所とまさにそこは“打撃の楽園”。金属音が常に鳴り響いているのは、時間を持て余すことなく小さな若獅子たちが打ち続けている証拠だ。

 飯能校でメーンコーチを務める宮田和希コーチは「ライオンズの一軍選手が試合前に行う練習とほとんど一緒ですね」と笑うが、これは自らが球場の特性を活かしながら生み出した練習。飯能市民球場独特の開放的な雰囲気も手伝ってか、子どもたちはのびのびと練習に励んでいるという。

 その環境でできる最高の練習をする―。宮田コーチの信念の奥には「子どもたちに野球を好きになってもらう」という揺るがぬ目的がある。限られた時間で1球でも多く白球に触れ、1球でも多くバットを振る。そうすれば、一つきっかけを掴んで帰ってくれるかもしれない―。その一打がきっかけで野球がもっと好きになってくれるかもしれない―。その一心で組まれた練習メニューを紐解くと実に奥が深い。

 通常の練習メニューはアップ、打撃練習、守備練習、ダウンの流れ。打撃マシンや大量の用具、ボールを要する打撃練習の後にノックを実施するのは、その間に打撃練習で使用した用具等をそれと並行して撤収するため。ギリギリまで子どもたちと向きあい、彼らの可能性を膨らませていくための手段でもある。

 野球を好きにさせたいという想いが宮田コーチの手段や方法を変えていく。20日掲載予定の最終回では、そんな宮田コーチが球団事務所のデスクにてなにやらパソコンと向き合う、普段見られないシーンを紹介したい。

 (西武ライオンズ広報部)

 =つづく=

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