埼玉新聞

 

最低だ…深夜にコメ180キロ盗んだ「令和のコメ泥棒」逮捕 コメ農家「あちこちでやっていたんだろうな」

  • 埼玉県警が押収したコメ袋など(県警提供)

 久喜市の農家からコメ約180キロを盗んだとして、県警捜査3課と春日部署は19日、窃盗と建造物侵入の疑いで、草加市稲荷5丁目、ベトナム国籍の飲食店従業員の男(39)=入管難民法違反罪で起訴=を再逮捕した。

 県内では昨年2月ごろから、春日部市や幸手市、行田市など県北東部でコメが盗まれる被害が相談も含めて約100件発生。男の関係先などから空のコメ袋が約300枚見つかっており、県警は関連を調べる。

 再逮捕容疑は6月12日午前0時27分ごろから午前3時半ごろにかけて、久喜市菖蒲町の農家作業場に侵入し、冷蔵庫内からコメ6袋(重さ約180キロ、計4万8千円相当)を盗んだ疑い。「私は分からない」と容疑を否認しているという。

 同課によると、男は同日昼ごろ、コメ3袋を持って県内の無人精米所を訪れていた。自宅や車、使用していた越谷市内のコンテナボックスからは空のコメ袋約300枚が見つかった。

 昨年12月1日、春日部市内でコメが盗まれそうになる事件があり、周辺の防犯カメラの解析や、使われたとみられる車の捜査などから、男の関与が浮上。県警は今年6月22日、入管難民法違反(不法残留)容疑で逮捕し、余罪を調べていた。

 男は捜査員の間で「令和のコメ泥棒」と呼ばれていたという。県警は、自分で食べるには量が多いことなどから、転売目的の可能性があるとみて調べる。

■被害農家「食べる分ない」

 被害に遭った久喜市の農家の男性(52)は男が逮捕されたことに、「コメはどこの物とも区別がつかないので、犯人が捕まるとは思っていなかった。同じ人間は盗みにこないと思うので、私だけではなく家族も精神的に安心」と一息ついた。

 盗まれたコメは家族や親戚で消費するために取っておいたものだった。これまで家で食べるコメはいつも自分たちで作っていたという。「うちはコメ農家なのに自分の家で食べるコメがなくなった。今は近所の農家から買っている。次の収穫がある10、11月まで買い続けないといけない」とコメ農家特有の苦労を語る。

 男がベトナム人と聞き、「実際にお金がないのか、食料がないのか分からないが、人の物を取るのは最低。不法滞在というが、そういうところの管理はどうなっているのか」と疑問を持つ。男の関係先からコメ袋が大量に見つかり、「まさかそんなに出るとは。本当にあちこちでやっていたんだろうな」と推察した。

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