「川に人が浮いている」通報で駆け付けた警察官 川の真ん中で浮く男性を発見し、生存確認 「消防を待っている余裕はない」迷わず入水 太ももまで漬かる深さも救助 実は昨年まで緊急援助隊に…生きた訓練の経験
行田市内の川で流されていた高齢男性を救出したとして、行田署地域課の長谷川典義巡査部長(39)と橋本望巡査(39)に対して鈴木基之本部長から表彰状が贈られた。パトロール中のことで、2人のとっさの判断と連携が救助に結び付いた。2人は「助けられてよかった」と笑顔を見せた。
5月17日午後4時10分ごろ、同署に「川で人が浮いている」と目撃者から通報があった。パトカーで同市内をパトロール中だった2人に連絡が届き、緊急走行で現場に向かった。現場は同市内を流れる忍川で、川幅は約13メートル。川の真ん中に80代の男性があおむけに浮いている状態で、川の水が顔にかかると反応していることから、生存していることが分かった。
2人は相談し「消防を待っている余裕はない。自分たちで何とかしなければ」と判断。長谷川巡査部長は迷わず入水し、橋本巡査は本部に連絡するなど役割分担した。長谷川巡査部長によると、川は太ももが漬かるほどの水深で、男性の脇に手を入れて岸まで運んだ。男性は水を多く飲んでおり話せない状況だったが、「もう大丈夫ですよ」と呼びかけると反応したという。直後に救急隊員が到着し、男性を引き渡した。男性は無事に助かったという。
長谷川巡査部長は昨年まで県警広域緊急援助隊に所属しており、日頃から災害対応の訓練を行っていた。川の流れが危険でないことを確認してから入水するなど、当時の経験が生きたという。長谷川巡査部長は「今までやってきたことが無駄にならなかった。助かってよかった」と語った。橋本巡査は「同じ現場というのはない。現場現場で対応できる強い警察官になりたい」と意気込んだ。
救助直後の5月21日には、行田署の井出瑞穂署長から2人に署長賞が贈られた。「素晴らしい救助だった。引き続き市民の安全を守っていただきたい」とたたえた。