埼玉新聞

 

<東京五輪>頂点のチャンス!瀬戸選手を応援する会、郷土の星にエール 埼玉・毛呂山でまた凱旋の流鏑馬を

  • 瀬戸大也選手を応援するのぼり旗の下でエールを送る高橋仁志さん=毛呂山町内

 新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期されていた東京五輪が23日、開幕した。各地で競技が本格化し、出番を待つ県勢にも気合が入る。金メダルを射程圏内に捉え、複数種目のメダル獲得が期待されている競泳男子の瀬戸大也選手(27)=埼玉県毛呂山町出身、TEAM DAIYA=には、毛呂山町の住民らが熱いまなざしを向けている。「瀬戸大也選手を応援する会」の高橋仁志会長(66)は「頂点を狙うチャンス。東京五輪で、てっぺんを!」と郷土の星にエールを送る。

 応援する会は瀬戸選手の地元地区を中心に町内外の有志で結成する。400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した2013年世界水泳選手権バルセロナ大会の直後に発足し、会員は現在約170人。高橋さんは発足時から会長を務めてきた。

 高橋さんは長年、地域の一大行事、出雲伊波比神社の流鏑馬(やぶさめ)で世話役をしてきた。05年11月の流鏑馬に泉野小5年生の瀬戸少年が射手として参加したことが2人を近づけた。「大也君は子どもの頃から礼儀正しく、いつだってニコニコしていた。運動神経が良くて、馬を乗りこなしていた」と懐かしむ。

 前回リオデジャネイロ五輪で、瀬戸選手は400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得した。地元への報告会の一環にと、高橋さんは瀬戸選手に騎乗してもらい、流鏑馬風にして住民らと喜びを分かち合えればと考えた。それが、「行進程度でいいと思ったのに、大也君が『馬に乗るのなら流鏑馬で走らないと』って言うから、急きょ流鏑馬になってしまった」と笑う高橋さん。

 競技会の合間を縫って、瀬戸選手は日高市まで足を運び、騎乗練習に励んでいた。「コロナ次第だが、東京五輪後にまた凱旋(がいせん)の流鏑馬ができるといい」(高橋さん)

 瀬戸選手は実家に帰省した際、近所を散歩したり、なじみのラーメン屋に出向いていたという。日本水泳界のエースが古里で見せる、そんな姿が高橋さんはうれしかった。「すごい選手になっても、普段はそんなことを感じさせない子なんです」

 だからこそ、自身の女性問題で昨年、日本水泳連盟から「年内の活動停止」の処分が下ったことは、応援する会にとって心配な出来事だった。瀬戸選手から直筆のおわびの文章が会に送られてきたという。高橋さんは「大也君が選手生命のあるうちは応援していきたい」と話す。

 東京五輪を迎えても、新型コロナウイルスの影響で会員を集めたパブリックビューイングなど大掛かりな応援はできない。「もうオリンピックで銅は取ったよね。大也君は金メダルを目指していると思う。それに向け、わたしたちは陰ながら、自宅のテレビで精いっぱい応援する」

 瀬戸選手は400メートルと200メートルの個人メドレー、200メートルバタフライの3種目に出場を予定している。高橋さんは「大也君なら全種目で金メダルが取れる。そう信じ、願っている」と力を込めた。

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