東武東上線の上福岡駅、横断歩道橋が完成 視覚障害者ら体験会、埼玉・ふじみ野市が整備に意見反映へ
ふじみ野市の東武東上線上福岡駅東口駅前広場整備事業の一環で、建設が進められていた橋上駅舎と駅前通り(市道)を結ぶ横断歩道橋がこのほど完成し、同歩道橋の視覚障害者体験会が行われた。市内の視覚障がい者2人が参加し、歩道橋の手すりや点字場所など使い勝手を確認した。視覚障害者の利便性に配慮するのが目的で、市は「体験会の参加者の意見を整備に反映させたい」としている。
建設された横断歩道橋は橋上駅舎2階部分から東口駅前ロータリーにつながる市道の両側の歩道に接続する。幅員は3メートル~1・5メートルで総延長約63メートル。工事は2019年9月から着工し、21年7月15日に供用開始した。工事費は同駅前広場の道路整備費を含め計約8億900万円。
橋上駅は駅前ロータリーに降りるエレベーターが設置されているが、駅前通りから同駅舎に入る際は交差する道路を渡るため、交通上の安全確保の必要性が指摘され、特に早朝の通勤や通学時間帯は歩道に市民があふれ、自転車や車の接触事故などが多発していた。
こうした状況に、市民から安全確保のための対策を求める要望が多く寄せられていたことから、市は同広場の整備事業として横断歩道橋の建設に着手していた。
この日の体験会は、同市視覚障害者の会「あいあい」(会員約30人)会長の黒川久雄さん(85)と同市の視覚障害の男性(62)の2人が参加。2人はそれぞれ市道の歩道から白杖を頼りに歩道橋の階段を上り、手すりに設置された点字を確認しながら橋上駅舎まで歩いた。
黒川さんは「東口は利用者が多く、通勤時間帯は非常に混んでおり、接触事故も多い。歩道橋ができれば、歩行に選択肢ができるのでわれわれも単独歩行がしやすくなる。ただ、手すりの点字の位置などは視覚障害者が利用しやすいように考えてもらった方がありがたい」と話した。
また、もう一人の男性は「想像していた以上に幅が広く、騒音などが少なかった。われわれにとっては音などの外的要因は少ない方が歩きやすいので、慣れてくれば使いやすくなり、歩道橋は安心して利用できる」と話していた。