埼玉新聞

 

訂正せずに誤りを修正 元中学生いじめで川口市教委

  • 川口市役所=川口市青木

 埼玉県の川口市立中学校に在学中のクラブ活動でいじめ被害に遭った元生徒男性(18)が、自分のいじめ被害について情報開示請求で開示された市教委の文書に「明らかな間違いがあるのに訂正しないのは不当だ」として訂正を求める裁判をさいたま地裁で起こしている問題で28日、市教委の森田吉信学校教育部長らが会見し「訂正はしないが、明白な誤り136カ所を修正した」などと語った。

 森田部長によると「修正した」のは、元男子生徒の母親の名前、日付と曜日の食い違い、関連するほかの生徒の名前など。母親の名前は「元生徒の個人情報に当たらない」との見解を示した。市教委の独自の見解には、市民から異論が出そうだ。

 森田部長らは「訂正しないと決めた文書は内部の文書であり、当初から公表する目的がないものなので、市個人情報保護条例上で訂正しないことができる文書に当たる」「内部文書であり条例上は訂正義務はない」などと見解を述べた。

 また「記載内容が当時の認識であり、たとえ客観的な事実と異なっていたとしても、当時の認識などを変えることはできないから、条例上の対象とはならない」との見解を示した。この見解は市教委内の法務担当などを交えてまとめた見解だとした。

 会見に出席した市教委総務部の法務担当、山口敏副主幹は「赤と書いた箇所を黒に訂正した場合、前から黒だと認識していたことになるからだ」と説明した。

 原告の母、森田志歩さんはこの日の市教委の見解について「法律や条例では文書内容は正確でなければならないとされる。正確か否かという問題で、市教委が訂正したいとか訂正したくないという問題ではない」などと批判した。

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