<東京五輪>涙止まらない祖父…信じて見守った孫娘が金メダル 埼玉の寄居、柔道・新井選手を町挙げ祝福
東京五輪柔道女子70キロ級で金メダルに輝いた新井千鶴選手(27)=三井住友海上。出身地の寄居町では庁舎東側に飾られた五輪出場を知らせる懸垂幕を「金メダル獲得」に変更、「広報よりい」の号外を制作し町民に配布するなど対応に追われた。新井選手の祖父も「元気なうちに金メダルが見られて良かった」と孫娘の奮闘をたたえた。
新しい懸垂幕は縦8メートル、横約90センチ。「祝 金メダル」という文字を添えて世界の頂点に立ったことを伝えている。新井選手は31日の団体戦にも出場する。試合後、桜沢地区を通る国道140号と男衾中学校西側の県道交差点のそれぞれの歩道橋にも横断幕を設置する準備を進めている。
広報の号外は4ページ。新井選手が金メダルを持ってほほ笑む写真で表紙を飾る。ページをめくると、決勝戦で技をかける勇ましい新井選手や2012年からの主な実績も紹介。団体戦後にも号外を発行し、8月号の広報誌にラッピングをして約1万3千世帯に配るという。
1階ロビーの新井選手の等身大パネルには、職員手作りの金メダルが掛けられた。試合当日までを数えるカウントダウンパネルも、金メダルを祝うパネルに変身した。
祖父八郎さん(84)は祖母の妻イヱさん(86)と自宅のテレビで予選から観戦した。「どんな試合になるのか心配で、昼食も食べられなかった」という八郎さん。仏壇に線香をたき続け、「しっかり組んで投げられる柔道ができれば勝てる」と信じて見守った。金メダル獲得が決まると、孫娘の活躍に涙が止まらなかった。
八郎さんは試合前日の27日にも菩提(ぼだい)寺や地元の鎮守様に行き、自分の柔道ができるよう手を合わせた。29日は金を獲得したお礼に行ってきた。
孫娘を巡ってはこんな思い出もある。3、4年前、新井選手が座右の銘を持つことを周りから勧められた時のことだ。何にするか迷い祖父母宅を訪れ、新井家の菩提寺の不動寺から「不動心」にしたと話す。
一夜明けて八郎さん方には、思いがけない人から金メダルを祝う電話が相次いだ。新井選手には「頑張ったね。よくやったと声を掛けたい」とねぎらった。