埼玉新聞

 

大盛況!素人集団が栽培したトマトの直売、オープン初日に700人 埼玉・伊奈で新規就農者が奮闘

  • 荒廃した農地を整備してトマト農園を始めた中原さん=伊奈町小室、NKファーム

 高齢化などで継ぎ手がなく荒れ地になった農地の活用が課題となっている伊奈町で、別産業から参入した新規就農者が奮闘している。建設業を営む中原友春さん(44)は、今年3月、同町小室の「NKファーム」でトマト栽培を開始した。この夏初めて収穫したトマトの直売は好調で、オープン初日には約700人が訪れる大盛況。「素人集団ながらもいろいろな人に助けられてここまで来られた。町の農業に貢献できてうれしい」と話す。

 きっかけは2年前。町職員から「農家の担い手が減っている。荒廃農地を利用してもらえないか」と相談を受け、農業について調べ始めた。未経験であり、採算が取れるかどうか不安もあったが、「地元のために何とかしたい」との気持ちも強かった。また本業の建設業「中原工業」を定年退職した職員の再雇用についても検討していた。

 「建設、土木の現場は危険が伴う。高齢化した社員の働く場として農業はいいんじゃないか」。参入を決意した中原さんは、資金繰りを武蔵野銀行に相談したところ、同行農業支援部のサポートを受けられることに。農地は、町のアグリ推進課から複数の候補を挙げてもらい、大通りに面し、将来的に奥へ拡大できる現在の土地を借りた。

 農業技術については、農機具販売の関東甲信クボタからトマト栽培ユニットを購入、システムの管理や栽培ノウハウなど定期的に技術指導を受けた。販売は、農園での直売をメーンにしつつ、中原工業本社や伊奈物産館のほかネットでの販路を確保。こうして「NKファーム」は誕生した。

 扱うのは「フルティカ」という品種。糖度が高く、食べ応えのある大きさが人気の中玉トマトだ。三つのビニールハウスにそれぞれ1200本。苗木を1本ずつポットに植え、自動水やり用のホースを設置している。

 「設備を整えるのは大変だった。クボタさんや農家の人に教えてもらい、なんとか出来上がった。最初は切っていい枝か駄目な枝かも分からなかったので」と笑う中原さん。「自分が実践してみて成功すれば、(新規就農者の)仲間が増えるんじゃないかな」

 問い合わせは、中原工業「NKファーム」電話048・722・6339)へ。

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