男女共学化勧告…「別学にもニーズ」埼玉県教育長が見解 アンケート受け 中学生の別学希望3%台も「バランス取れている」
県男女共同参画苦情処理委員による県立男女別学高校の共学化勧告を受け、埼玉県教育委員会が県内の中高生・保護者を対象に行った共学化の是非などを問う記名アンケートの結果について、日吉亨県教育長は26日の定例会見で「共学校と別学校それぞれに一定のニーズがある」との認識を示した。
アンケートで中学生の56・3%が「共学校に行きたい」と回答し、男子校に3・5%、女子校に3・4%の中学生が進学を希望したことについては、「(回答)比率は2023年度の共学校と別学校の在籍生徒比率に対して、バランスが取れていると感じる」と述べた。
一方で、アンケート結果が勧告への対応に与える影響については明言を避けた。県教委では今後、複数回の協議を行い、8月末までに苦情処理委員に報告を行う予定となっている。
■高校生6割が共学化反対、中学生と意識の違い浮き彫り 教委アンケート
埼玉県立男女別学高校の共学化について、埼玉県教育委員会は7月11日、県内在住・在学の中高生と保護者を対象に、4月から5月にかけて実施した共学化の是非などを問う記名アンケートの結果を公表した。回答数は約7万件で、高校生は6割ほどが「共学化しない方がよい」と回答。一方、中学生は「どちらでもよい」が半数以上となり、賛否は拮抗(きっこう)した。
アンケートは4月17日にウェブ上でスタート。当初は無記名で回答を募ったが、重複回答や対象者以外による回答といった不正への懸念から、開始2日で記名式に変更し、実質的なやり直しとなっていた。
記名式には、締め切りの5月17日までに7万471件の回答が集まり、うち姓名の未入力などで要件を満たさなかった回答5642件を除いた6万4829件を集計。回答者の内訳は、中学生2万4343件▽高校生7286件▽中学生保護者1万5790件▽高校生保護者1万7410件だった。
高校生で共学化に反対したのは4167人(57・2%)、賛成したのは570人(7・8%)で、2418人(33・2%)は「どちらでもよい」と回答した。反対理由で最も多かったのは「共学・別学の両方を選択できる方がよいから」で35%、賛成理由は「性別によって入学できない高校があるのは公平ではないから」の33・4%が最多だった。
一方、中学生は共学化について「どちらでもよい」としたのが1万3677人(56・2%)で、回答者の半数以上を占めた。共学化に反対は4698人(19・3%)、賛成は4551人(18・7%)でほぼ同数となり、高校生との意識の違いが浮き彫りになった。
また、中学生に対する共学・別学どちらの高校に進学したいかの質問では、1万3707人(56・3%)が「共学校に行きたい」と回答。男子校を希望するのは842人(3・5%)、女子校は837人(3・4%)で、6261人(25・7%)は「どちらでもよい」と答えた。
今回のアンケート結果は、これまで県教委が関係者に聴取した意見などと合わせて、共学化を勧告した県男女共同参画苦情処理委員に8月末までの提出を求められている報告の参考にする。
同日の県教委定例会で日吉亨教育長は「アンケートについて多くの方にご協力いただいた。多くの団体から要望書なども頂いている。教育委員としてしっかり目を通させていただく」と述べていた。