埼玉新聞

 

歌人・俵万智さん、埼玉の角川武蔵野ミュージアムで個展 厳選300首、ポジティブなメッセージに勇気を

  • 歌人・俵万智さんの「サラダ記念日」や最新歌集「未来のサイズ」などの代表歌を展示している個展=7月20日、角川武蔵野ミュージアム

 デビュー作「サラダ記念日」で社会現象を起こした歌人・俵万智さん(58)の個展「俵万智展 #たったひとつの『いいね』」が、所沢市の角川武蔵野ミュージアムで開催されている。35年にわたる歌業の中から厳選した300首を紹介。ハートや船のオブジェに代表作をプリントするなどアート心あふれる空間で、日常から人生を詠み続ける俵さんの作品を堪能できる。11月7日まで。

 俵さんは1962年大阪府生まれ。「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」で知られる87年の歌集「サラダ記念日」は約280万部のベストセラー。最新歌集「未来のサイズ」(2020年刊行)では権威ある「迢空(ちょうくう)賞」を受賞した。

 会場は、ピンク色がイメージカラーで恋の歌を中心とした「サラダ記念日」エリア、平成に出版された4冊の歌集から計100首を紹介した「回廊エリア」、最新歌集「未来のサイズ」エリアの三つのゾーンで構成。俵さんの人生のステージに合わせて短歌のテーマが変化していく様子が分かる。

 「サラダ~」エリアでは、学生時代、両親に宛てたハガキを3メートル大で展示。ハガキの内容から「なんでもない会話なんでもない笑顔なんでもないからふるさとが好き」などの短歌が生まれており、創作の過程に光を当てる。

 東日本大震災を契機に息子を連れ石垣島に移住し、現在は宮崎県内で暮らす俵さん。「未来のサイズ」エリアでは、「第二波の予感の中に暮らせどもサーフボードを持たぬ人類」をはじめコロナ禍や、母親として社会問題に関心を寄せる心情を反映した短歌を紹介。同ミュージアム美術部門ディレクターの神野真吾さんは「俵さんのポジティブなメッセージに勇気をもらえるはず」と話している。

 チケット(オンライン購入価格)は大人1200円。問い合わせは、同ミュージアム(電話0570・017・396)へ。

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