埼玉新聞

 

問い合わせ殺到!スケボー人気 東京五輪、日本人選手の活躍で注目集まる 半面、マナーの悪さも問題に

  • スケートボードを楽しむスケートボーダーら=4日午後、加須スケートパーク

 東京五輪から正式種目として採用されたスケートボードが、日本人選手の活躍により注目を集めている。用具を扱う店やスクールへの問い合わせが増え、選手に憧れて本格的にスケボーを始める子どもも。ただ、人気の高まりに対し、気軽に楽しめるパークの環境整備が課題になっており、関係者は「スポーツとして社会に認知してほしい」と訴える。

 加須市が運営する加須スケートパーク(加須市北大桑)は平日の昼間にもかかわらず、約15人の利用者がスケートボードなどを楽しんでいた。加須市ボードスポーツ協会代表の阿由葉満春さん(42)は「5歳ぐらいの子もいるし、72歳のおじいさんがこの前は滑りに来ていた。今までは若い男の子たちが多かったが、今年の夏は家族連れも多い」と話す。

 同パークでは月に1度スクールも開催している。今月のスクール募集前から「いつ募集始めますか」「うちの枠を取っておいてほしい」などの問い合わせが殺到しているという。スクールに講師として参加しているプロスケートボーダーの安田哲也選手(38)は「スケートボードが習い事として見られることが増えたのではないか」とみる。

 「以前からパークに行っていたが、オリンピックを見て一層いろんなパークを回ってみようと思った」。同パークに親子で来ていた会社員男性は語る。小学生の娘は、五輪に出場した岡本碧優選手(15)に憧れてパーク種目を始めた。「オリンピックを見て改めて格好いいと思った」と言い、気持ちよさそうに汗を流していた。

 スケボー用具などを販売するさいたま市北区の「Speed Shop FUST」の香西允彦店長(48)は「先日も若者がスケボーを始めたいと言って店に来た」と話す。五輪効果で問い合わせや来店が1日5件ほど増えたという。

 注目が集まっている半面、課題もある。同パークではこれまで、深夜に利用した人が爆音で音楽を流すなどの迷惑行為があった。現在は対策として、開放時間を午前9時~午後5時に限定している。

 禁止されている場所で滑るなど一部のマナーの悪さも問題になっている。県警交通総務課によると、道交法76条の規定で「交通のひんぱんな道路」でのスケボー走行は禁止されており、同課は「許可された安全な場所でやってほしい」と話す。

 しかし、環境整備は進んでいない。県スポーツ振興課によると、県内でスケボーができる施設は民間と公共を合わせて17以上あるものの、利用者にとっては充分とはいえない状況だ。

 阿由葉さんは「スポーツとして認知されれば、野球やサッカーのグラウンドのようにパークも増えると思う。もっと社会に認知してほしい」と訴えた。

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