埼玉新聞

 

想像以上の劣化、おおむね新築に 埼玉・熊谷の源宗寺本堂の保存修理、12月完成目指す 工事の公開も予定

  • 保存修理工事が進められている源宗寺の本堂=4日午前10時45分ごろ、熊谷市平戸

 熊谷市平戸にある市指定文化財の仏像「平戸の大仏(木彫大仏坐像)」を収蔵する源宗寺本堂の保存修理事業が進められている。本堂の老朽化が著しく、保存修理は檀家組織や地域住民らで組織する源宗寺本堂保存修理委員会が主体となって実施しており、12月の完成を目指している。

 仏像は木製の寄せ木造りで、薬師如来の高さは3・48メートル、観世音菩薩の高さは3・93メートル。木製の寄せ木造りの仏像としては国内最大級で、この大きさを収蔵することに適した本堂の保存修理工事が進んでいる。懸案だった工事資金は事業総額約4400万円のうち、寄付金などで約9割が集まったが、工事完了に向けて寄付募集も継続している。

 昨年12月に旧本堂を解体し、大仏坐像2体を仮設小屋へ移動。解体前は使用可能な部材は再利用する計画だったが、想像以上に劣化が激しかったため、一部の彫刻や鬼瓦などの再利用にとどめた。本堂はおおむね新築となり、明治時代以降に奈良の東大寺の大仏殿に模して改修が行われてきた経緯があることから、屋根に装飾の「鴟尾(しび)」や「二の鬼」などの古代寺院建築の意匠を加えている。

 今後は地域住民や寄付者に工事現場の一般公開も行う予定。2カ年で約800万円を見込む仏像の修復は、賛同者から寄付を募る「クラウドファンディング」による募金活動の準備を進めている。

 市立江南文化財センターの山下祐樹さん(38)は「工事を無事に完工させ、県内外の多くの人たちに協力してもらいながら仏像を保存していきたい」と話していた。

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