埼玉新聞

 

放火容疑の男の自宅から複数のマッチ 「全く身に覚えない」と容疑否認 午前0時ごろに起きる生活「ストレス解消のため自転車で外出」との供述も 連続不審火への関与も慎重に捜査

  • 規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

    規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

  • 規制線が張られた火災現場=5日午前11時45分、久喜市菖蒲町

 久喜市や桶川市、伊奈町の住宅などで1日から不審火が相次ぎ、そのうち一部に放火したとして、無職の男(61)=久喜市菖蒲町小林=が逮捕された事件で、男の自宅から複数のマッチが押収されていたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。県警は同日、非現住建造物等放火の疑いで、男をさいたま地検に送検した。

 県警によると、男は5日午前1時20分ごろ、久喜市菖蒲町小林地内の倉庫にいずれかの方法で放火し、全焼させた疑いがもたれている。調べに対して「全く身に覚えがありません」と容疑を否認しているという。

 6日午前0時ごろ、警察官が自転車で自宅を出て徘徊(はいかい)を始めた男を発見。北本市内で職務質問をした上で上尾署に任意同行した後に逮捕した。職務質問をした際にマッチを所持していた。

 捜査関係者によると、男は午前0時ごろに起床する生活を送っており、生活でたまったストレスを解消するために自転車で外出していた旨の供述をしているという。6日に行われた男の自宅への家宅捜索で、複数のマッチが押収された。

 1~5日には、久喜市や伊奈町、桶川市内の半径約3・5キロメートルの範囲で計9件の不審火が発生しており、県警は上尾署に60人体制の特別捜査班を設置。ほかの不審火についても男の関与を慎重に捜査している。

■住民から安堵の声

 男を幼少期から知るという久喜市の男性(70)は「小学生の頃からよく同級生とけんかをするなどトラブルを抱えていた」と話す。成人してからは近隣住民ともほとんど会話をせず、付き合いはなかったという。男性は男に理由もなく怒鳴られたことがあるといい、「怒りだすと怖い印象がある」と語った。

 男が放火した久喜市菖蒲町の現場付近に住む女性は燃える様子を目撃していた。放火した男が逮捕されたと知り、「恐怖だったが、逮捕されてほっとした」と安堵(あんど)するも、「燃えたものは戻らない。被害にあった方のことを思うと心が痛い」と話していた。

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