<新型コロナ>入院先決定までの待機ステーション、戸田市が開設 救急車に限界 市内どこでも5分で到着可
戸田市は市内の市消防本部の駐車場に、新型ウイルスコロナ感染者のための「入院待機ステーション」を開設した。市によると、自宅療養者が症状悪化で救急車が出動しても、入院先が決まるまで車内で長時間待たされることがあったため、救急車内に代わる待機場所として同ステーションを考案した。
市消防本部によると、今月8日に4時間、14日に3時間、救急車内で待機したケースがあった。入院先は消防本部から連絡を受けた保健所と県の支援センターが相談して決まるが、決まるまでに時間がかかるからだ。
「救急車に積んでいる酸素ボンベは10リットルが2本で、1本で2時間分。5~6時間の車中滞在はできない。下痢症状のある人もいて、車内待機ではトイレの確保も苦労した。そこで考えたのが待機ステーション」と、同本部警防課の亀井亨課長(60)。
「幸いなことに戸田市は市内のどこからでも、救急車は5~6分で消防本部に来られる。ここにステーションをつくるために、市にあるもの、すぐ集められるものを考えた。苦肉の策です」と話す。
待機ステーションは大型テント内にベッド二つ、トイレ二つを備え、救急救命士などによる経過観察や酸素吸入などの応急措置ができる。
感染防止のための大型の陰圧テントは市民医療センターから借りた。トイレは災害時に被災地に派遣される消防本部の緊急消防援助隊の隊員用装備品。ベッドは危機管理防災課で管理している災害時の避難所で使う段ボールベッドだ。
「感染者宅に出動した救急車が本部に戻れば、私たち本部の職員も患者さんの管理や応急措置を手伝える。救急車はほかの現場に出動できる。ステーションの装備品はお金をかけないで、今あるものを活用した。どこに、どんなものがあるのか、みんなでいろいろ調べました」と本部の消防士長、馬内沙耶花さん(31)。
17日から運用を開始すると早速、18日に1人が1時間待機したという。「あるものでつくる。できることからやる、という発想は今後に生きる経験だと思う」と馬内さんは話している。