人気で問い合わせ殺到“スケボーパーク”誕生、さいたま初の全天候型 五輪で高まるスケボー熱、埼玉内外から客が訪れる さらに関東で唯一の“練習場”と言われる理由は
パリ五輪で、日本人選手がメダルを獲得し、新たなお家芸として注目が集まるスケートボード競技。さいたま市岩槻区のスケートボード施設にはレッスン利用などの問い合わせが相次ぎ、10代の子どもたちが夢を抱いて集まる。運営する鈴木崚太さん(32)は「東京五輪の時はまだ一過性のブームのような感じだったが、今大会の日本人選手の活躍でようやくスポーツとして認められてきた。新たなカルチャーとして根付かせたい」と話している。
■挑戦する姿リスペクト
3年前の東京五輪女子パーク王者の四十住さくら選手に憧れて始めたという川口市の小学5年生河津美桜(みお)さん(10)は「技が決まった瞬間が一番気持ちいい」と笑顔。ストリートファッションや音楽、デザインにも興味が広がったという蓮田市の小学6年生小林大地さん(12)は「技を決めたら知らない人同士でも一緒に盛り上がれる一体感が好き」と魅力を語る。さいたま市見沼区の中学1年生萩原大翔(ひろと)さん(12)はスノーボードとスケボーの二刀流。「平野歩夢選手のように世界のトップになりたい」と力強く語った。
パリ五輪でも選手たちの明るい表情と仲の良さが際立つスケートボード会場。鈴木さんは「失敗しても新しい技に挑戦する姿を互いにリスペクトする文化がスケボーには根付いている。そういった雰囲気も五輪中継で感じ取ってもらえたら」と話した。
■資本金1万円で再建
幼少期に親にスノーボードを買ってもらったのが“横ノリカルチャー”にはまったきっかけという鈴木さん。その後、スケートボードやサーフィンなどにも活動の幅を広げ、青春時代の全てをボードにささげてきた。蓮田市のスケートボードパーク「Private Ramp 75(プライベートランプセブンファイブ)」の店長として働いてきたが、オーナーの事情で立ち退きが決まり、昨年5月に惜しまれつつも閉店。利用者の「なくさないで」との声に後押しされる形で、金融機関の支援を受けて、「資本金1万円、従業員数1人」の個人事業主として今年7月に名前も引き継ぎ、再スタートを切った。
■世代超えた交流の場に
新しい場所を見つけるのに1年以上の時間を費やしたが、「未来のプロスケーターの育成はもちろん、子どもから大人まで世代を超えて交流できる場所にしていきたい」と意気込む鈴木さん。「近隣住民の方に夜間の音などにもご理解をいただいた」と感謝の言葉を繰り返す。
現在の店舗はさいたま市内では初の全天候型パーク。蓮田市の旧店舗から使える資材は全て移設した。午後8時以降でも滑走可能で、中学生を中心に未就学児から50代後半まで幅広い層が汗を流している。プロスノーボードライダーの西村周二郎さん(40)もスタッフに加わり、スノーボード専用の練習場を併設。関東では唯一だという。駐車場には船橋や練馬、盛岡など県外ナンバーの車も並ぶ。
問い合わせは、鈴木さん(電話090・1699・8521)へ。