難病の母を15歳から介護 「将来の不安しかなかった」 ヤングケアラー・若者ケアラーを知る 伊奈町で経験者が語る会 当事者は「話を聞いてほしい」「一時的にでも逃げ込める場所があれば」
ヤングケアラー、若者ケアラーってなんだろう?伊奈町で「ヤングケアラー・若者ケアラーを知る会」が8日、町総合センター3階大ホールで開催され、ヤングケアラー経験者や伊奈町出身の若者タレントらがトークセッションした。
登壇したのは、ヤングケアラー協会代表理事の宮崎成悟さん、上尾市出身の弁護士で「聞こえないきょうだいをもつSODAの会」代表の藤木和子さん、障害のある両親のケアの体験をSNSで発信している高橋唯さん。それに市民らとともに勉強する側として、NGT48所属アイドル三村妃乃さん、町魅力発信大使でモデルの中丸葵さんの2人。
宮崎さんは、難病の母親を15歳の時から17年間介護した。高校生の時は家事や介護を担い、部活もできなくなった。大学時代も介護しかしてなかったため、就活でも苦労したという。「将来の不安しかなかった。介護保険を使うようになり、福祉サービスの人がたくさん入ってきたが、限界もあった」と話した。
藤木さんは3歳下の耳の聞こえない弟の世話と母親の精神的なケアを担ってきた。「弟に勉強を教えるのは使命感。断ることはできなかった。お姉ちゃんいるから助かる、将来期待しているといわれ続けた。弱音を吐くことはできなかった」と当時の経験や気持ちを振り返った。
高橋さんも「支援をしてもらえても、家族をやめることはできない」と苦しい胸の内を話す。「家でも学校でもない世界があると知ることが大切。私は塾のおかげで外の世界を信じることができた」と自身の体験を語った。
3人の話を聞いた三村さんは「ひとことにヤングケアラーといってもそれぞれに策が必要と感じた」と話し、中村さんは「表に出る人としてできることをしていきたい」と自分事として考えた様子だった。
会場からも「どんな支援があればよいか」といった積極的な質問が投げられた。宮崎さんは「話を聞いてほしい。一時的にでも逃げ込める場所があったらいい」。藤木さんは「好きなことやってもいいんだよと背中を押してあげてほしい」。高橋さんは「(ケアについて)生徒と先生が一緒に学べる機会があればいいと思う」とそれぞれ真摯(しんし)に答えていた。