埼玉新聞

 

ハライチ・岩井さん“県民対決”番組は「言うことなくて大変」…出身の埼玉が「熊谷、秩父は群馬で、県南部は東京のはずれだから」 さらにユーモアたっぷりエッセーを出版、埼玉人が読みやすい理由は

  • 「誰が読んでも面白いように日常をテーマにした」と話す岩井勇気さん

    「誰が読んでも面白いように日常をテーマにした」と話す岩井勇気さん

  • 「誰が読んでも面白いように日常をテーマにした」と話す岩井勇気さん

 人気お笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さん(38)が3冊目となるエッセー集「この平坦な道を僕はまっすぐ歩けない」(新潮社)を出版した。日常の出来事を鋭くユーモアたっぷりにとらえた、くすっと笑える一冊だ。上尾市原市出身の岩井さんは「県民性にあった、主張の強くないエッセイ。埼玉の人は読みやすいと思う」と皮肉交じりに話す。

 2019年に出版した初エッセー「僕の人生には事件が起きない」は累計10万部以上のベストセラーに。今作については「前と比べて確実にうまくなった。小手先の笑いをとらず、面白く書くようにした」と手応えを感じている。

 テレビでは毒舌キャラとしておなじみの岩井さん。エッセーでも芸人にかみついているのかと思いきや、自身の“日常”をつづった話が中心。旅行前日にスマホを落としたことや、予約なしで美容院に飛び込んだ話など誰にもありそうな出来事から笑いを生み出す。「みんなうっすら頭の中にあるが、言語化されてない『あるある』を考えるのが好きで、エッセーの中にも入れました」と話す。

 疲労困憊(こんぱい)した時に飲食した平凡なレストランでのエピソード。普通ならがっかりしてしまうところだが、疲れ切った体と心には、その特徴のなさが「ほどよい」と絶賛。また名作ミュージカル「オペラ座の怪人」では、醜い主人公に「仕事を教える流れで女性新入社員に言い寄る男性上司のよう」とつっこむ。ユニークな着眼点と鋭い観察力が光っている。

 意外にも自身を芸能人と思ったことはなく、芸能界への憧れも全くないのだとか。「芸能人になりたかったわけではなく、ネタを披露したくてお笑いの世界に入った。『オペラ座の怪人』もありがたがってないから、フラットに『こいつ変』と思えた。自分が見てどう思うのかを大切にしている」。

 岩井さんは地元の原市小、原市中、県立伊奈学園総合高校を卒業。サッカーのクラブチームに入りながら、中学校の陸上部で活躍するなどスポーツが得意な生徒だった。相方の澤部佑さんは幼稚園からの幼なじみで、高校3年生の時にハライチを結成した。郷土愛が深いから、ではなく「地元の名前でいいか」と軽い気持ちでつけた仮コンビ名を今も使っているのだという。

 「埼玉」がバラエティで取り上げられることが増えたが、岩井さんは「熊谷、秩父は群馬県で、県南部は東京のはずれだと思ってる。だから『県民対決』のような番組では、言うことがなくて大変」と毒舌を爆発させた。
 

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