【東京ウオッチ】都市に潜む美、ダイナミズムに触れる―ワタリウム美術館で「サイドコア」大規模個展 いまのTokyoをつかむイベント情報(24日~9月1日)
◎今週の一推しイベント
【24日(土)】
▽「SIDE CORE展―コンクリート・プラネット」(~12月8日、渋谷区・ワタリウム美術館+屋外)
公共空間や路上を舞台としたプロジェクトを展開するアートチーム「サイドコア(SIDE CORE)」。メンバーの高須咲恵さん、松下徹さん、西広太志さんに、映像ディレクターとして播本和宜さんが参加するチームの大規模個展が、外苑前で開催されている。
2012年より活動を開始。地下水路や幹線道路を撮影した映像作品、街灯などを素材としたインスタレーション、グラフィティの手法を用いた絵画を発表してきた。本展でも都市の公共性や制度に着目。美術館の建物内外で作品を展示し、形式にとらわれない見せ方でストリートカルチャーを描き出している。
複数の自動車のヘッドライトを使用した「夜の息」、工事現場で使用されるピクトグラムを一面にコラージュした「東京の通り」は、隠された都市の重層を表現。松下さんは「日常の風景の中にある美、ダイナミズムや、クスッと笑えるおかしさを発見してほしい」と言う。高須さん、西広さんは「複数のアーティストから生まれる、異なる感性で都市を客観的に捉えた」と話す。
東京の地下施設をスケートボードで滑走していく人たちを撮影した映像作品「under city」は、地下調節池やポンプ場、雨水貯留施設などの空間をつなげ、幻想的な“地下都市”を作り出した。松下さんは「こうした巨大インフラは普段は目に触れないが、生活に直結し都市と地方の関係について考えるきっかけをくれる。ストリートカルチャーは土地、人種、階級を超えて人々をつなげていくと思う」と話した。
○そのほかのお薦めイベント
【24日(土)】
▽「グッチ日本上陸60周年記念展 Bamboo 1947:Then and Now バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」(~9月23日、中央区・グッチ銀座ギャラリー)
イタリアの高級ブランド「グッチ」のアイコンバッグ「グッチ バンブー 1947」を日本の伝統工芸作家、現代アーティストら7人がアレンジした作品を紹介する展覧会が、銀座で開催されている。ブランドの日本進出60周年を記念した催し。
第2次大戦後のイタリアで、ブランド創設者のグッチオ・グッチらが竹を加工してハンドルにしたシリーズは現在まで多くの名作を世に送り出してきた。本展のために、参加作家たちが80~90年代に製造・販売された商品をアップサイクルし、60点の新たなハンドバッグとしてよみがえらせた。
沖縄出身の塗り師、渡慶次愛さんはレザーの上に漆を施したバッグを展示。中には琉球漆器の装飾のように金箔を取り入れた作品も。ストリートスナップを用いた表現で世界的に知られる写真家の森山大道さんは、都市の雑踏などの写真をバッグにプリントした。画家の横山奈美さんは、自身の象徴的作品群「ネオンシリーズ」の“光”を細密なタッチで革の表面に描いた。
陶芸家の中里博恒さん、画家の八重樫ゆいさん、彫金家で人間国宝の桂盛仁さんと弟子の北東尚呼さんも参加。作家たちの手で生まれ変わったバッグを通して、伝統と革新の神髄に触れてみたい。
60年代から現在までの「バンブーハンドル バッグ」400点も紹介している。
▽「TRUNK(HOTEL)CAT STREETで夏季期間限定メニュー」(~9月30日、渋谷区)
暑さを感じる季節のために涼やかで健康的なメニューが、神宮前のブティックホテルで提供されている。
館内のメインダイニングではブッラータチーズをメロンの果肉とマンゴーソースで味わう「渋谷モッツァレラブッラータ 旬のフルーツ」などを用意。
8月31日までは、厳選した4種の生がきを堪能するプランも。夏の終わりを都心で味わいたい。
▽「フラワービュー 渋谷上空229mのフラワーウォーク」(~9月30日、渋谷スクランブルスクエア46階・「SHIBUYA SKY」屋内展望施設)
カラフルな花の散歩道を楽しめるイベントが、渋谷で行われている。
360度見渡せる都市と空の景色を生かして、高さ最大2メートルの巨大アートフラワーを回廊に多数並べた。天井から花びらが舞い落ちるコンテンツも体験できる。散歩道の途中にフォトスポットも設置、エンターテインメント性の高い空間を演出している。
同じ階のラウンジと屋上展望空間ではイベントを記念した限定ドリンクを用意。蘭やバラが香るスカッシュなどを味わえる。都市の風景とアートフラワーが織りなす調和を見つけたい。
▽「本と社交場」(~25日、渋谷区)
本を通した新たなコミュニケーションの場を提供するブックイベントが、表参道ヒルズの吹き抜け大階段で2日間行われる。
個性あふれる書店、本好きのアーティストや芸人ら13組が参加。神保町の老舗古書店「小宮山書店」や、ピースの又吉直樹さん率いる文学を愛する芸人たちの集い「第一芸人文芸部」による各ブースが楽しめる。