埼玉新聞

 

県立高校の共学化 「主体的に推進」 県教委、少子化踏まえ結論 時期については明言せず「十分な周知期間必要」

  • 共学化勧告への報告書について説明する日吉亨教育長(中央)=22日午後、県庁

    共学化勧告への報告書について説明する日吉亨教育長(中央)=22日午後、県庁

  • 共学化勧告への報告書について説明する日吉亨教育長(中央)=22日午後、県庁

 「男女別学の県立高校は早期に共学化されるべき」―。昨年8月に埼玉県男女共同参画苦情処理委員が行った勧告から1年。県教育委員会は22日、「県教委として主体的に共学化を推進していく」とする報告書をまとめ、苦情処理委員に提出した。日吉亨教育長は同日の会見で「県教委として議論が深まり、今後の教育行政にとって大きな意義があった」と振り返った。

 ただ、別学の在校生・関係者を中心に共学化反対の声は強く、県教委も共学化時期について明示しないなど、今後も議論は続きそうだ。

 「県教委は、共学化について主体的に検討していく必要があるとの考えに至った」。共学化への対応について、日吉教育長はそう述べた。会見に先立って非公開で行われた県教委定例会では、教育委員から慎重論は出なかったとして「(共学)推進ということについては一致していた」と明かした。

 日吉教育長が今回の結論の背景として、男女共同参画とともに挙げたのが「少子化」だ。「少子化により中学生の数が減ることが分かっている中で、県立高校の在り方、共学化について幅広い視点で考えていかないといけない」と何度も繰り返した。

 推進としながら、共学化の時期については明言せず、共学化を行う際には「十分な周知期間が必要だろうと考えている」とも語った。さらに「県民の意見を丁寧に把握する必要がある」として、アンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見聴取などの実施を行っていくとした。

 今後については、県教委内に共学化に関するワーキンググループを設置することも「検討課題だ」と語った。

■「率直に残念」/浦和高校同窓会会長

 「浦和高校同窓会」会長の野辺博さん(71)は「率直に残念という気持ちだ。教育委員会が行ったアンケートでも、別学維持の意見が多数あるのは事実」と取材に答えた。

 高校生は生育途上にあり、多感な時期に共学校で過ごすのは難しい場合もあるという。野辺さんは「共学化を推進するだけが、男女共同参画を推進するわけではない。高校教育の在り方やカリキュラムなどについての検討が重要だ」と語った。

■「大きな進歩」/市民団体「共学ネット・さいたま」世話人代表

 市民団体「共学ネット・さいたま」世話人代表の清水はるみさんは「今回の報告書では教育委員会が主体性を持つと回答があり、学校主体で共学化について考えていた2003年の回答からは、大きな進歩」と評価した。

 性の多様性について明記されていないのは「残念」とした上で、「日吉(亨)教育長が検討課題と述べたワーキンググループを設置し、具体的な推進計画や目標年度の決定など早期の共学化を目指してほしい」と話していた。

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