埼玉新聞

 

もちもち、ふんわりのギョーザ あらびきのひき肉を手作りの皮で 川越の東京飯店 地域に育まれた味

  • 炒飯(左上)や餃子(右上)など

    炒飯(左上)や餃子(右上)など

  • 厨房に立つ「東京飯店」の鵜沢捷雄さん

    厨房に立つ「東京飯店」の鵜沢捷雄さん

  • 炒飯(左上)や餃子(右上)など
  • 厨房に立つ「東京飯店」の鵜沢捷雄さん

 的場は川越市の西部に広がる地区だ。JR川越線的場駅から真っすぐに延びる道を歩くこと100メートル余り。「東京飯店」の店主鵜沢捷雄さん(82)が、知人から居抜き店舗物件の紹介を受けたのは1971年のことだった。

 東京都内の病院で事務関連の仕事に就いていた。「知っている店がある。そこで中華をやらないか」。そう勧めてきたのは外科の医師だった。「やってみよう」と心に決め、渋谷の中華料理店に入る。店長を務めるなど8年間にわたって修業を積み、味覚や技術を体得した。

 昭和の時代の的場。駅の回りは砂利道で、桑畑が広がっていた。農家が多く、来店する客は濃い味付けを好んだ。「当時は中華を食べたことがない人もいた。渋谷の味は通用せず、地域に合わせなければならないと思った」。料理は的場に育まれた味だ、と鵜沢さんが説く。

 店では90種類以上のメニューが用意される。代表的な一品に餃子(ギョーザ)がある。キャベツやニラ、あらびきのひき肉を手作りの皮で包む。もちもち、ふんわり。計算された食感が客を魅了する。

 炒飯(チャーハン)には卵2個を投じ、チャーシューやネギとともに鍋の中で調和させる。れんげですくい、口に含めば、ぐいぐいと豊潤なうまみが押し寄せてくる。

 小江戸・川越にあるとはいえ、なぜ店の名に「東京」が付くのか。鵜沢さんは「居抜きの当時から東京飯店という名前だった」。さらりと明かす。

 厨房には長男の康浩さん(53)も立つ。鵜沢さんの人のつながりが育んだ店だ。

【主な人気メニュー】
 餃子6個400円、炒飯800円、ニラレバー炒め700円、五目うま煮1400円など。

【メモ】
 東京飯店 川越市的場1305(電話049・231・1398)。営業時間は午前11時~午後9時。定休日は月曜。アクセスはJR川越線的場駅から徒歩約2分。駐車場あり。

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