市職員が不正に市長印を押し売却した土地 売却相手から市有地を返還で合意 さいたま市 職員を市は警察へ告発 発覚後、市は相手と8回協議
さいたま市の土地が不適正に売却された問題で、相手方と市有地を返還することで合意したことが27日、分かった。同日行われた、さいたま市議会まちづくり委員会に市側が報告した。土地の売却代金と和解に基づく損害賠償金は、来月4日に開会予定の市議会9月定例会の本年度一般会計補正予算案に盛り込み、承認後、合意書や和解書の締結、抹消登記の申請を経て、相手方に支払われる。
市都市局まちづくり推進部の報告によると、市は、与野まちづくり事務所の当時の担当職員が土地を売却した、マンション売買や賃貸管理などを行う「クリスティ」(さいたま市大宮区)と5月20日から8月6日まで計8回の協議を重ね、返還に向けた合意を確認したという。
市側は、土地売却代金の返還のほか、1月の移転登記の際に相手方が実費で払った登録免許税と契約書の印紙代、売却代金に対して年3%の法定利息相当分を和解金として支払う。職員の刑事責任の有無にかかわらず、追加費用は発生しない見通しという。相手方は抹消登記に必要な書類を市に提出する。
与野駅西口の土地区画整理事業を巡り、まちづくり事務所に属していた50代の男性職員は隣接地を所有している相手方から「施設をつくりたい」などの再三の売却の申し出に応じ、行政財産のまま、正規の手続きを経ずに、市長印を押し契約を締結していた。
市は4月、定期監査に向けた文書を確認中に不適正な事務処理を知り、5月に調査検討会議を設置。6月には男性職員を有印公文書偽造・同行使の疑いで浦和西署に刑事告発した。
市は、不正売却で得た代金を今年2月定例市議会に計上した2023年度一般会計補正予算案の不動産売却収入約8580万円の一部としているが、和解金を含めた総額については「9月議会の中で審議するため、現時点では明らかにできない」としている。