病床の父は天国に、薪釜には穴…老朽化進む老舗銭湯に地域も協力 新たなつながり生まれ再生へ支援呼び掛け
「ホームなのにアウェイ」のキャッチフレーズで地元に親しまれている、さいたま市南区別所の老舗銭湯「鹿島湯」が存続へ向け、クラウドファンディング(CF)で改修資金の一部の支援を呼び掛けている。3代目として切り盛りする坂下三浩さん(54)は「廃業も検討するほどの経営難。しかし、頑張れ、なんとか継続を!という鹿島湯を愛する方々の声を聞き、地域の協力を得ながら資金調達をして再生したい」と意気込む。
Jリーグ浦和レッズの地元にあってライバルチームの名を持つ同銭湯。同所周辺の旧地名、鹿島台から名付けたという。坂下さんの祖父、故吉岡源二さんが1956(昭和31)年に創業し、今年65年を迎える。
創業当初からの薪(まき)で湯を沸かすスタイルは今も変わっていない。その一番重要な薪釜に今年2月、穴が開いてしまった。現在は応急処置をして営業を続けているが、配管や床面タイルなども老朽化が進んでいる。一方、コロナ禍で利用者が激減し、修繕費用が捻出できない状況という。
CFは、資金を必要としている人やお店が、インターネットを通じて、多くの人に資金協力をしてもらう仕組み。さまざまな方法があるが、今回は支援してもらった金額に合わせて、オリジナルTシャツや洋菓子といった返礼品やサービスがある。
目標額は600万円。地域のつながりで浦和の人気洋菓子店「アカシエ」のシェフも「銭湯がなくなっては困る」と、協力。鹿島湯カラーの赤をイメージしたパウンドケーキも返礼品になるなど、新しいつながりも生まれている。
CFは、今月3日からスタート。病床にあった2代目の父、三夫さんが7日に80歳で亡くなった。坂下さんは「人生でこんなに頑張れ、と声を掛けてもらえたことはない。皆さまに恩返しをしたいので、ぜひ継続するためにご協力いただきたい」と、力を込めた。10月3日まで。詳しくは、ホームページ。
問い合わせは、同店(電話048・861・7007)へ。