埼玉新聞

 

<熊谷小4ひき逃げ>必ず犯人につながると信じて 事件から12年…母親、ラジオで情報提供を呼び掛け

  • FMクマガヤのスタジオで生放送に出演し、情報提供を呼び掛けた母親(中央)=21日午後0時20分ごろ、熊谷市筑波のアズ熊谷6階

 熊谷市で2009年9月、小学4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件から30日で12年となるのを前に、孝徳君の母親は「秋の全国交通安全運動」の初日となった21日、市内のコミュニティーFM「FMクマガヤ」に熊谷署の警察官とともに生出演し、情報提供と交通安全を呼び掛けた。

 事故は09年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石の路上で発生。孝徳君は書道教室から自転車で帰宅している途中に事故に遭った。県警は時効目前となった19年9月、自動車運転過失致死罪から危険運転致死罪に罪名を変更し、捜査を継続することになり、時効は10年延長になった。

 母親の出演前には、熊谷署交通課長の篠永作警視と同課交通総務係の大井千絵巡査が出演。2人は同署管内の死亡事故の現状を紹介後、歩行者保護などを訴えた。ひき逃げ事件のことにも触れ、「まだ犯人は捕まっていないので、どんなささいなことでも熊谷署交通課までお願いします」と情報提供を呼び掛けた。

 母親は孝徳君の事故当時の服装をはじめ、現場付近の商業施設の営業状況や現場の道路事情などを説明。19年1月からブログも始め、約2年半で約280件の情報提供があったことを伝えた。最近は情報提供を契機に時効前に犯人が逮捕された事件もあり、「いつどこで犯人につながる情報が頂けるか分かりませんので、必ず犯人にたどり着くと信じている」と語った。

 また死亡ひき逃げ事件の時効撤廃を求めて実施している署名活動も紹介。署名活動ではオンライン署名と手書きの署名を合わせて6万人近くの署名を集めたという。「今の法律では、ひき逃げを犯しても逃げ切れば罪に問われないのが現状。法律を変えるのは簡単ではないが、法律を変えていきたい」と力を込めた。

 今回の出演は母親自らの申し出によって実現。出演後に取材に応じた母親は「時効まであと残り8年なので、悔いのないように行動し、自分でできることは何でもやっていきたい」と話していた。

 母親は30日も午後6時から同FMに出演予定。母親のブログは「《未解決》熊谷市小4男児死亡ひき逃げ事故!」(https://ameblo.jp/kosekitakanori/)。

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