【青春の「ザ・ベストテン」 南野陽子 #4】ファン動揺の歌詞忘れ回 続けてきたから「笑い話」
人気音楽番組「ザ・ベストテン」に多数出演した南野陽子は、同じ楽曲でも異なる衣装や表情、しぐさでファンを楽しませた。語り継がれている歌詞忘れ回は「失恋したのでは?」などと臆測が飛び交ったというが、真相は―。(ザ・ベストテンの思い出を聞く連載の第4回です)
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〈出演回ごとの雰囲気の違いも魅力です〉
衣装やセットも変わりますしね。歌い方が変わっていったり、表情がオーバーになっていったりもして。振り付けも、1回目より2回目とだんだん動きが多くなっていきます。
〈自由度の高い振り付けなんですね〉
自分で考えていましたからね。考えたというか雰囲気で「この音でこう動く」と。当時は移動中に曲を聴いて覚えながら、振り付けも考えていました。車の左後部座席に座っていたので、振りは右手だけ。後ろ側への振りはないし、ステップもないんです。
〈番組でのハプニングは?〉
ファンの方をブラウン管の前であたふたさせてしまったのは、やっぱり「秋からも、そばにいて」の歌詞忘れのシーン(1988年11月)だと思います。リハーサルの時にスタッフの方から「(ドレスの裾で)セットに置かれた大量の枯れ葉を掃除しないでくれよな」と言われて。気をつけて歩いて振り返ったら…、歌詞が出てこなかったんです。
後から聞いたら、司会の黒柳徹子さんが「なんとかしてあげなきゃ」とこちら側に台本を投げてくれていたみたい。当時は「終わった…」と思ったけど、今は笑い話です。(芸能活動を)辞めていたらもっと深い傷になっていたでしょうから、やっぱり続けるほうがいいのよね。
【みなみの・ようこ】1967年生まれ、兵庫県出身。85年に「恥ずかしすぎて」でデビュー。ヒット曲に「吐息でネット」「はいからさんが通る」など。主な出演作はドラマ「スケバン刑事☆(ローマ数字2)」、映画「私を抱いてそしてキスして」。「ナンノ」の愛称で知られる。