涙が止まらない兄…人一倍やった練習で強豪撃破 大逆転勝利で金メダル獲得したパリ・パラ車いすテニスの田中愛美選手 地元で大歓声 母と抱き合って喜んだ兄「誇らしい妹」
パリ・パラリンピックの車いすテニス女子ダブルス決勝戦で、所沢市出身、在住の田中愛美選手(28)と上地結衣選手(30)のペアが金メダルを獲得した。所沢市役所では5日午後8時半からパブリックビューイング(PV)が行われ、強豪オランダペア相手の逆転勝利に大歓声が湧き起こった。
1階市民ホールの会場に市民ら約100人が来場。赤と白のバルーンや「必勝まなみ」などと書かれたうちわが配られ、横断幕や日の丸を掲げて応援に臨んだ。4日にパリから帰国した田中選手の母りん子さん(54)と兄修平さん(30)も駆け付け、試合開始前には応援団経験者の修平さんが「フレー!フレー!愛美!」とエールを披露して会場を盛り上げた。
試合は9連覇を目指すオランダと激戦を繰り広げ、一進一退の展開に。第1セットは接戦の末に落としたが、第2セットをタイブレークに持ち込み奪取。会場ではバルーンをたたいてエールを送り、ポイントが入るたびに歓声が湧き起こった。第3セットは、10点先取のマッチタイブレークを制して勝利。会場は大歓声が響き、りん子さんと修平さんは抱き合って喜んだ。
りん子さんは田中選手について「負けず嫌い。練習も人一倍やって、悔し涙もたくさん流してきた。(パリでは)アウェーの応援の中でメンタルを保ちながら戦っている姿に、一歩成長したのかなと感じていた」と話す。「彼女はやってくれると、それだけを信じると決めていた。今は『お疲れさま』と声をかけたい」と笑顔だった。修平さんは「誇らしい妹。本人が目指していたところだと思うので、実を結んで良かった」と涙が止まらなかった。
「田中愛美ファンクラブ」会長の浜田恵次郎さん(71)は経営する市内のカフェに高校3年生の頃から田中選手が通っており、長年エールを送ってきた。「ここまで強くなるとは。上地さんと組むと聞いて、絶対にいけると思った。愛美ちゃんは甘いものが好きなので、帰ってきたら用意しておきたい」と感無量の様子だった。
会場で勝利を見届けた小野塚勝俊市長は「世界最高の場所で、世界最強といわれる相手に勝利されての金メダル。所沢の誇り、日本の誇りです」と話した。