【ぷらっとTOKYO】お堀に臨む風格ある街 半蔵門かいわい
江戸城に設けられた門の一つ、半蔵門は東京メトロ半蔵門駅(東京都千代田区)から東へ数百メートルの所にある。内堀通りに立ってお堀の向こうに目をやると、皇居の森を後ろに控える小ぶりの城門が見えた。江戸時代を思い起こさせる美景に心を和ませ、辺り一帯を散策した。
内堀通りの半蔵門交差点から、堀沿いに延びる千鳥ケ淵公園に入った。北へ進んですぐに出合ったのが「自由の群像」と題された男性3人の裸像。近代日本の新聞人を顕彰するモニュメントで、脇に置かれた碑には中央紙、地方紙、通信社の社長などの名を記す。
公園は緑豊かな散歩道になっている。所々に置かれたベンチには、ペットの犬やサルと一緒に休憩する人たちがいた。
通りの西側には、2023年に開園した「国民公園 皇居外苑半蔵門園地」もある。元は英国大使館の敷地の一部だった土地で、15年に日本へ返還されたのを受け、イングリッシュガーデンの趣を取り入れて整備した。開放感のある空間に、大きな木や花がアクセントを添える。
広い敷地を占め、威厳を感じさせる英国大使館の周りを一巡りしてみた。東側の内堀通り沿いは、桜の名所として知られる。西側の坂道に面した壁は、地形に合わせたジグザグ模様が面白い。
大使館の少し西を南北に走る半蔵門駅通りで、作曲家滝廉太郎の「居住地跡」の碑に対面した。「荒城の月」「花」など数々の名曲を残した廉太郎は、1894年ごろから1901年にかけ、この辺りに暮らしていた。胸像のレリーフに「荒城の月」の楽譜を添えた上品な記念碑が、風格のある街並みに溶け込んでいた。
【メモ】半蔵門の名は、門の守備に当たった武士服部半蔵に由来するというのが通説。また、象をかたどった祭礼の山車が大き過ぎて門に入れず、半分に切って通したからだともいう。