埼玉新聞

 

「団地の生活に彩りを」 1年かけてシャッターアート 手がけたのは20歳の学生イラストレーター 久喜のわし宮団地商店街 作品きっかけに新規に飲食店オープンも決定

  • 最後の作品となる秋をモチーフにしたシャッターアートと、作者の矢島玲花さん=8月29日、久喜市上内のわし宮団地

    最後の作品となる秋をモチーフにしたシャッターアートと、作者の矢島玲花さん=8月29日、久喜市上内のわし宮団地

  • (左から)冬、春、夏をモチーフにしたシャッターアート

    (左から)冬、春、夏をモチーフにしたシャッターアート

  • 最後の作品となる秋をモチーフにしたシャッターアートと、作者の矢島玲花さん=8月29日、久喜市上内のわし宮団地
  • (左から)冬、春、夏をモチーフにしたシャッターアート

 過疎化と高齢化が進む久喜市上内のわし宮団地商店街に、四季をモチーフにした鮮やかなシャッターアートが誕生した。作者は地元の学生イラストレーター矢島玲花さん(20)。団地の活性化を目的に管理するUR都市機構から依頼を受け、1年かけて完成させた。矢島さんは「住民の皆さんの生活に彩りを添えられたら」と話している。

 矢島さんは県立久喜北陽高校を卒業し、現在は美術系の専門学校に通っている。市内の飲食店で手がけたガラスアート作品がUR職員の目に留まり、芸術性を評価され、シャッターアートの制作を任されることになった。

 昨夏から制作を始め、隣接する4店舗のシャッターに夏、冬、春、秋の順番にペンキで描いた。テーマは「思い出と煌(きら)めき」。移ろう季節を楽しむ若者の姿をみずみずしい感性で表現した。「団地の主役は住民。お年寄りが多いので、生活の中にある絵を見て昔を思い出し、懐かしんでもらたいという思いを込めた」と矢島さん。

 市内に住んでいるものの、シャッターアートの制作に携わるまで、団地を訪れたことはなかった。学校の長期休暇を利用して1作品につき約2週間、通い続ける中でこれまで接点のなかった住民との交流も経験した。「描いている時、『きれいだね』『明るくなった』と声をかけられるのがうれしかった」

 地元の若手イラストレーターを起用したシャッターアートは話題を呼んだ。URによると、商店街にある16店舗のうち11店舗が空き店舗になっているが、作品の効果で新規に飲食店のオープンが決まったという。

 矢島さんは「シャッターアートを通じて団地の活性化に携わることができて良かった。暮らしの中にある絵として自由に想像し、楽しんでもらいたい」と話した。

ツイート シェア シェア