2020年11月16日(月)

あり得ない…給食加熱せず食中毒 4カ月後に給食再開、信じるしかない保護者 生徒1割が弁当持参…不安で

八潮市役所=八潮市中央

 今年6月、民間業者に委託していた埼玉県八潮市の学校給食で3千人を超える児童生徒が食中毒を発症した問題で、4カ月にわたり停止していた給食の提供が10日、市内の小中学校で再開された。4日には市教委が設置した学校給食審議会が、現在の全面民間委託方式から公設方式に移行することなどを市に答申し、安全体制の整備を促した。給食再開後も弁当を持参する児童生徒が見られる中で、保護者は「信じるしかない」という。

 給食を提供するのは市内にある民間の「協同組合東部給食センター」。約40年にわたり市内全15小中学校の給食を調理し、提供してきた。6月下旬、病原大腸菌O(オー)7による集団食中毒が発生し、児童生徒ら3453人が下痢や腹痛などを発症した。

 管轄の草加保健所などの調査で、食材の海藻ミックスとワカメにO7が付着していたことが判明。県食品安全課は「原材料を前日に水戻ししたことで病原大腸菌が増え、加熱処理をしなかったため滅菌できなかった」と分析した。

 学校給食は文科省が定める学校給食衛生管理基準に基づいて調理される。食中毒を招いた調理工程に対し、関係者の目は厳しい。県東部の自治体担当者は「当日の調理が原則。本当であればちょっと考えられない」と首をかしげる。

 給食を民間業者が調理、提供する県内自治体は、八潮市や久喜市の旧久喜地域など。久喜市で給食を提供する全国農協食品久喜工場の担当者も「今回たまたまだったのかもしれないが、果物以外は必ず加熱するのは当然で、あり得ない話」とみる。

 長期にわたり給食が中止となったことで、保護者からは給食再開を求める声が多く寄せられた。市はPTA連合会や校長会と協議し、前日調理を行わない▽加熱調理を徹底する▽調理後2時間以内の喫食に努める―などの改善策を講じながら再開を決定。市が委託した第三者機関による衛生チェックも行うとした。

 給食停止の期間中、保護者は不便を強いられた。小学生と中学生の子どもを持つ母親は、再開について「保護者の負担も考えると良かったのでは」としつつ「私たちは信じるしかない。市やセンターには最善の注意を払ってほしい」と注文する。市によると児童生徒の1割程度が、給食への不安などから弁当の持参を続けているという。

 公設方式への移行を答申した学校給食審は、全面民間委託方式では栄養管理などを担う栄養教諭や学校栄養職員が配置できない点を指摘。移行までの期間も市や同センターの取り組みをチェックし、指導や助言ができる第三者委の設置などを求めた。

 市教委の担当者は「審議会の答申を受けて課題点を整理し、関係部署と連携して検討を進めたい」と話している。

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